愛知県豊田市にある矢作川漁業協同組合では、矢作川の水況や最新のアユ釣情報も提供しています。

河川環境への取組

《環境漁協宣言》
矢作川漁業協同組合は創立100周年記念の第35回総代会で、1127人の組合員の意思において、次の7項目の「環境漁業宣言」を採択し、矢作川の河川環境と水産資源の慢性的停滞の現況を打開し、流域に豊かな内水面漁業を提供していくための指針とします。
1. 森・川・海の環境を一体的に改善する視点で、流域の市民、自治体、諸団体と共に、矢作川環境の改善と内水面漁業の振興に取り組みます。
2. 豊田市矢作川研究所の研究活動と研究機能充実を積極的に支援し、同研究所との連携のもとに、政策提案型の「環境漁協」活動を推進します。
3. 矢作川の環境破壊の根源である矢作ダム等の既存ダム群を抜本改造し、矢作川に自然の流れと生態系を回復するよう求めます。ダム群の運用についても、「治水・利水」目的から脱却し、明確に「治水・利水・環境」目的へ転換するよう求めます。岐阜県内の上矢作ダムの新設設計には絶対反対の立場を表明します。矢作川の上流域が長野県内にあることをかんがみ、長野県政の「脱ダム宣言」を支持します。
4. 矢作川の100年来の課題である明治用水ダム魚道の構造改善と流量増加を求めます。同ダム下流の水枯れ状態を改善するため、いまも「河川維持流量」を設定していないという、国政の河川法違反の無法状態を解消するよう求めます。
5. 海面漁協と内水面漁協の交流、協力関係を育て、三河湾の環境改善に取り組みます。
6. 矢作川「水源の森」整備の一翼をにない、森林愛護思想を流域に広めるため、矢作川漁協内に森林協力隊(ボランティア団体)を組織し、長期計画で「矢作川漁民の森」をつくります。
7. 矢作川漁協の上流、中流、下流の各ブロック組織ごとに矢作川学校を創設し、各ブロックが自主計画にもとづき、河川環境改善、漁業振興、漁業後継者育成、川の伝統行事や子供の川遊びの復興に取り組み、地域社会の経済的、文化的発展にも寄与します。
平成15年2月22日
矢作川漁業協同組合創立100周年記念
矢作川漁業協同組合 第35回総代会
《天然アユ保全事業》

 矢作川漁協では、豊田市矢作川研究所(科学者)や矢作川天然アユ調査会(市民団体)とともに、春のアユ遡上量調査、夏季のアユ成長調査、秋の流下仔アユ調査など、様々な調査活動を10年以上にわたり継続し、ダムの多い矢作川で天然アユを保全していくための科学データを蓄積してきました。
 また、こうして蓄積した科学データをもとに、ともに矢作川で生活する“よき隣人”である関係団体との話し合いを積極的に進めています。中部電力とは長いあいだ年2回の「環境定期協議」を行ってきました。国交省や愛知県とも「環境定期協議」を行っています。農業用水団体との間に定期協議はありませんが、実質的にはよく話し合いが進んでいます。

 以上のような取り組みを続け、また漁協自らも乱獲の自己規制を強化していくことで“よき隣人”たちからの信頼もうまれ、次のような事業を行うことが出来るようになりました。

●遡上お助けダム放水(春季)
 矢作川は水利用率の高い河川です。春の遡上期に十分な水量を保てるよう、冬のうちに一定水量を矢作ダムに貯めてもらい、それを遡上の盛期に合わせて放水してもらっています。
●遡上アユの汲み上げ放流(春季)
 明治用水ダム右岸魚道の特別採捕施設で遡上アユを捕獲し、トラック輸送で上・中流域に汲み上げ放流を行っています。
●産卵親アユの汲み下げ放流(秋季)
 秋、降下してきた産卵親アユが、越戸ダムから取水する農業用水路や発電水路に迷入してしまうため、水路内で捕獲して下流域の人工産卵場までトラック輸送しています。捕獲施設も造っていただけました。
●流下お助けダム放水(秋季)

 矢作川のアユ産卵場は海から離れているため、孵化した仔アユの多くが海まで辿り着けない(餓死)ことが分かっています。そのため秋にも矢作ダムに水を貯めていただき、仔アユの流下ピークにあわせて放水してもらって、流下速度を速めています。

●人工産卵場の整備(秋季)

 明治用水ダム下流にある使用されていない水路(旧魚道)を活用させてもらい、人工産卵水路を整備しています。ここに汲み下げ放流の産卵親アユを放し、落ちアユ漁や鳥の食害から守りながら産卵させています。また人工授精による卵放流も実施しています。

●産卵場の造成(秋季)

 矢作川の下流域は砂川であるため、河床耕耘による産卵場の造成が難しいですが、試行錯誤しながら取り組んでいます。

●産卵保護禁漁区の設置(秋季)

 愛知県はアユの産卵期の落ち鮎漁が規制されていないため、自主規制として、産卵保護のための禁漁期間・禁漁区間の拡大に努めています。また県に対して産卵禁漁保護期間の設定を求めています。

《漁協森林塾》

 矢作川の河畔林の健全な生態と自然の景観を創造するため、矢作川の高橋〜豊田大橋の左岸の荒廃した河畔林(竹林)約600メートルをモデル整備区として2006年から活動してきました。活動内容としては、密集した竹林を一本ずつ手作業で伐採し、実生の木にかえる作業を行っています。
 2008年待末までに荒廃した竹林の伐採はほぼ終わり、川の景観は大幅に改善されました。これによって生態系と景観が両立する河畔林の創造ができる木曽が出来たと考えています。すなわち、理想とする河畔林を創造するためのスタートラインに立てたと思っています。
 今まで組合員の有志で行っていた活動を、広く一般市民や企業も参画できるようにするため、平成21年度中に矢作川漁協森林塾をNPO法人化できるよう準備しています。

《矢作川水系漁業協同組合連合会》

 平成20年8月30日に、矢作川水系3県(愛知・岐阜・長野)8漁協で「矢作川水系漁業協同組合連合会」を立ち上げました。この連合会は、矢作川水系の大きな課題に対して関係機関との外交活動を行うことや、相互の情報交換を目的として設立されたものです。連携を密にし、矢作川水系全体の河川環境改善を行っていきます。  具体的には根羽川の押山ダム、名倉川の真弓ダムにみられる許可水利権の更新について、河川環境保全のため積極的に関与していきます。また巴川や羽布ダムの水質を、矢作川合流地点の産卵保護のため問題視していきます。

《矢作川「川会議」》

 矢作川「川会議」は、矢作川愛護の市民団体、研究機関、官庁などが一堂に会して今後の川づくりのあり方を話し合う場です。毎年5月第2土曜日の「矢作川の日」に古鼡水辺公園で開催されています。矢作川漁協も川会議の一員として積極的に参加しています。

《矢作川学校》

 流域の子どもたちを対象に、魚捕りや釣りなどの川遊び・講演会などを開催して、河川環境を守る啓蒙や将来の釣り師の育成をしています。上流3支部、中流2支部、下流3支部それぞれが、豊田市矢作川研究所と共同で年1回夏に開催しています。